■工務店が訴えられたときの初動と、弁護士の役割は?
- 訴えられた時の対応

【はじめに】訴状が届いたら何が起こるのか?
注文住宅やリフォーム。工務店が施工を請け負う案件には、品質・工期・代金など多くの紛争リスクが潜んでいます。
トラブルがこじれ、施主から訴えられ、「訴状」が届いた瞬間、経営者は強いプレッシャーを受けがちです。しかし、ここでの初動が裁判の行く末を大きく左右します。
❶|訴えられた直後の“6つの初動ステップ”
訴えられたとき、誰でも動揺が走ると思います。しかし、まずは落ち着いて、以下の6点を確認するようにして下さい。
ステップ | 具体的行動 | 目的 |
① 内容確認 | 訴状・証拠説明書・呼出状を落ち着いて読む | 請求内容と 期日を把握 |
② 期日の逆算 | 第1回期日までの答弁書提出期限(通常、期日の 1週間前)をカレンダーに落とす | “欠席判決”のリスクを防ぐ |
③ 社内 ヒアリング | 現場責任者・営業担当・下請業者に事実関係を 即時ヒアリング | 事実整理と 証拠確保 |
④ 証拠の収集 | 契約書・設計図書・メール・LINE・写真・工事 日誌をコピー&バックアップ | 紛失疑義を回避 |
⑤ 保険会社への連絡 | 工事保険・PL 保険・弁護士費用特約の有無を確認 | 保険の適用を 確保 |
⑥ 弁護士へ相談 | 建築紛争に詳しい弁護士へ即日連絡し、証拠等を共有 | 早期の戦略立案と リスク最小化 |
【初動ステップのポイント】
●「とりあえず謝る」・「相手と直接交渉」は慎重に
発言した内容が、瑕疵を認めたことになる等、裁判で不利な証拠となるおそれがあります。
●証拠の確保
裁判の結果は、証拠の内容が左右するところが大きいです。証拠がなくなったりしないよう、その確保はマストになります。
❷|弁護士が担う6つの役割
では、裁判において、弁護士はどのような役割を果たすでしょうか。
(1)工務店のための代理人として裁判を進める
民事裁判では、訴額が140万円を超えるものについては、弁護士のみが依頼者の代理人として裁判に出廷することができます。弁護士に依頼しない場合、工務店の代表取締役が出廷することになります。
(2)訴状分析とリスク評価
訴えられた内容の請求金額や法的根拠を精査します。
また、訴訟の決着の見通しを立てることで、リスクの分析を行います。
(3)書面の準備
工務店の代理人として、工務店の言い分をヒアリングの上で内容を組み立て、答弁書や準備書面に記載し、裁判所に提出します。また、裁判期日を管理しますので、欠席裁判になることはありません。
(4)証拠の収集
訴えられた内容に合わせて、どのような証拠が準備すべきかを検討します。場合によっては、現場確認等も行い、証拠を用意します。
(5)和解交渉
訴訟の決着として、判決をもらうべきか、それとも和解を選択して早期解決によるリスク低減や、工務店のレピュテーションリスクの回避を検討します。和解を選択する場合、和解交渉を担当します。
(6)再発防止アドバイス
再発を防止するために、契約書の見直しや、品質管理体制について改善の提案等を行います。
❸| 早期相談が“被害を最小限に抑える”最短ルート
訴状が届いた時点で動揺が走りますが、落ち着いて対応することで、その後の進行が大きく変わります。まずは、先に挙げた6つのステップを確認してください。
そして、建築裁判は、建築の知識も必要となり、また建築の瑕疵(かし)が争われる場合、その争い方にも特殊性があることから、弁護士に依頼しないで進めるのが難しい裁判の一つです。そのため、早期の弁護士への相談が重要になります。弁護士へ相談することで、事件の見立てや解決方法を模索することができます。
【まとめ】迷ったら“焦らず・止めず・隠さず”
訴状が届いてどうしようか、と思ったら、「焦らず・検討を止めず・事実を隠さず」が重要です。社内で裁判の内容を冷静に受け止め、ぜひ適切な対応を取るようにしてみて下さい。
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