為替レートの変動に伴う資材調達への影響と予防策
- トラブル防止
【見積書の書き方、再チェックです】
今回のテーマは、最近の経済ニュースで取り上げられている為替相場の変動と、それにより資材高騰によるトラブルの予防策です。
日本では衆議院選挙が終わり、アメリカでも次期大統領選挙にトランプ氏が勝利しました。これら選挙の前から、為替相場の乱高下が起きていましたが、今後も、為替相場から目が離せない状況です。為替相場は、海外からの資材調達にも影響します。
今年7月、1ドルが160円になり、これは年初の1ドル140円だったときに比べて、約20円(15%)も円安に進みました。建築資材やトイレ等の住宅設備は輸入に頼るところが大きいため、この円安傾向は、資材調達の高等科の要因になりました。たとえば、1ドル140円を想定して資材を仕入れていた場合、この20円の仕入高騰分をどのように扱うか、ということに工務店の皆さまは頭を悩ませてきたかと思います。このように仕入価格が変動する場合に、その変動リスクをどのように発注者・受注者で負担するかについては、契約書の特約で請負代金変更の基準を定めておくことが考えられるところです。
この点、建築業界の慣習として見られる、例えば、「壁紙作業一式(資材含む)」という内容を請負契約で定めた場合、資材の価格も含まれて「一式」であるため、請負代金の変更は容易ではありません。資材のコストと作業のコストを分けて定め、資材コスト見直しの基準を特約で定めることで、想定していた資材のコストが上昇したときにその見直しが可能になります。
このブログを書いているときでも、日々、円相場が変動しています。経済状況は今後も急速に変わることが予想され、先行きを見通しながら経営していくことが難しい時代になってきました。そういう中では、「事前に備えられることについては備えていく」という考え方が、結局は大きなトラブルの回避に繋がります。そして、今回のように請負金額の単価を明記することは、お施主さまの納得感に繋がり、ひいては工務店さまの与信にも繋がりますので、検討されてはいかがでしょうか。
Y.SEKIGUCHI